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2007.08.04

賢い民。

ある裏切り代官の話。
 
 
昔、裏切りの謀略が露見して、捕まった代官がいました。
 
尋問された裏切り代官が、三州の殿様に言いました。

私は、争いごとをなくす為に甲州の殿様を迎えようとしたのだ。

民は、皆、私を正しいと認めてくれると。
 
三州の殿様はそれを聞き、言いました、

ならば、民に裁かせようと。
 
 
裏切り代官は、村の端に首だけ出して埋められました。

そして、裏切り者との高札とのこぎり引きを横に置かれただけで放置されました。
 
 
三州の殿様は言いました。

見張りは要らん。奴が正しいか、ワシが正しいか民に判断させるのじゃ。

裏切り代官は言いました。

はっはっはっ、このような処置ではすぐに私のことを民は救い出すだろうと。
 
 
三州の殿様が去り、見張りも去ると民が集まってきました。

民は、高札を読み言いました。

コイツ、われらの殿様を裏切ったらしいぞ。

よし、俺が初引きをしてやろうと腕まくりをしました。

裏切り代官は、慌てて引かれてはならじと民に話し掛けました。

待て、私が悪いのではない。

私は、そなたたちのことを思ってやったのじゃ。

甲州の殿様は強い。その中に入れば戦はなくなるし、そなたたちも楽が出来るではないかと。

民は、笑って言い返しました。

何を馬鹿なことを言ってるんだ。

昔、尾州の殿様につけば、尾州の為に。駿州の殿様につけば、駿州の為に戦わされたではないか。

此度、甲州領になった山家の民は年貢は重いし、娘は攫われるし散々だと言っているぞ。
 
 
殿様と言うのはな、自分の所の殿様が強くなければならぬのよ。
 
 
裏切り代官は、民に首をのこぎりで引かれ息絶えたのでした。
 
 

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